下記「特集」内容は、下段より第1回から第10回(1年目)分です。
第11回以降は、「特集2・3年目分」「最終特集」をご覧下さい。
このコーナーでは、毎月ICUのアートなOB個人や団体などを特集として取り上げてご紹介しました。2013年8月の第2特集(閲覧者参加企画ー「今、人に薦めたいこんな作品」)という試みもありました。
2013年2月の特集(特集第10回)
人・作品 2012年ICU祭から出会った「アートなOB達」
―展示の簡単紹介など Part2 (舞踏、音楽、演劇、映画等)―
以下には、(2012年ICU祭での)展示文章の画像の一部と簡単なご紹介を掲載しています。
2012年ICU祭でのアート関係OB紹介企画の全展示内容については、当サイトの「ICU祭での展示情報」のコーナーからご覧下さい。(22期の下館氏と主宰されている劇団シェイクスピア・カンパニーについては、この展示直後に情報を頂いたので2012年ICU祭での展示情報コーナーには載っていません)
一昨年のICU祭で展示でご紹介の方は、ご紹介掲示の撮影画像を最初にしています。(掲示の続きは上記の方法で閲覧可能)
15期 (’71)
斎藤悦子さん
ICUの卒業生でフラメンコの舞踏家、斎藤(旧姓 竹内)氏の「表現者として表舞台に立つ」の決意と、あとでご紹介の13期の奈良橋陽子氏の、裏方に徹する姿勢は対照的です。
けれども、共に芸術の分野で自らの資質を最大限に活かして活躍されているという点で共通しているように思えます。
斎藤氏のフラメンコ・スタジオのホームページhttp://www.e-madrugada.com/ プロフィールコーナーの「あの日のアルティスタ」のエッセイシリーズでは、フラメンコの世界で知り合った様々なアーティストとの出会いが、臨場感あふれる、とても生き生きとした筆致で描かれています。
(左の写真は斎藤悦子フラメンコスタジオホームページより)
33期 (ID89)
足立優司さん
最初に足立氏のお名前を2006年版同窓会名簿で見つけた時は、「(財)三鷹市芸術文化振興財団」勤務とありました。ご連絡を差し上げた時には福島県いわき市の「いわき芸術文化交流館アリオス」の音楽プロデューサーとなられていました。
そして2012年秋のICU祭での展示企画に上記のメッセージを頂いています。まもなくあの時から3年が経とうとしていますが、足立氏より新たなメッセージを頂きました。
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震災から間もなく丸3年。東京オリンピック開催決定、景気も上向き基調で、人びとの気持ちも明るさを取り戻しており、被災各県も復興に向けて歩みを進めているところですが、こと福島県についてはその歩みはあまりに遅く、動きようのない重苦しさに包まれていることは、案外知られていないようです。
いわき市は偶然のもたらした幸運によって空間放射線量が低く、子どもたちが既に外で元気に遊んでいます。しかし日々現在進行形で続く原発からの汚染水漏れや、燃料棒取り出し作業の中、もしものことがあったら、というストレスにさらされる人たち、現実から乖離した風評被害に苦しむ人たち、未だ復興の端緒にもつかない沿岸部の津波被災地の人たちに、少しでも心安らかな生活を取り戻していただくことを願い、私たちは日々、芸術文化による「人びとの心の日常回復」を目指して業務に取り組んでいます。
(下の写真は2013年7月、「小金井音楽談話室」公演時の足立氏)
音楽は、人の心の日常回復になくてはならないものです。しかし、そのことは失ったとき初めて分かる。それに備えるためには、日ごろから弛まぬ芸術普及・芸術振興が必要なのです。
私自身は、このいわき市で体験したことを都内の方々にも伝えるために、「小金井音楽談話室」というプロジェクトを立ち上げ、音楽を生で聴くということを生活の一部とすることで、非常時にもいち早く「日常」を取り戻せるという、いわきで体験した事実を伝える試みを続けています。そしてそのことを通して、人びとのクオリティ・オブ・ライフの向上に寄与したいと願っています。
足立優司
(小金井音楽談話室) http://koganei-music.at.webry.info/
(いわき芸術文化交流館アリオス) http://iwaki-alios.jp/index.html
***
43期 (ID99)
伊藤丈雄さん
ICUで数学を専攻されていましたが、UCLAに交換留学をした際に観た本場のミュージカルに感動し180度人生を転換され、ディズニーランド・劇団四季を経て、数々のミュージカル舞台・歌ライブ等でご活躍をされていらっしゃいます。
能楽師であった祖父の血を引く、バスバリトンの声と声量、歌唱力は、月間ミュージカル編集長 瀬川昌久氏のお墨付き。
奥様と共に立ち上げた芸能事務所OFFICE PIECE OF DREAMでは、夢を描くことの大切さと、感動する心の素晴らしさをエンターテイメントを通して沢山の方へお伝えしていらっしゃいます。(ホームページはhttp://opod.jp)
(左の写真は伊藤さんのOFFICE PIECE OF DREAMのホームページより)
ワンドリンクとミニフルコースが付いたLIVE&DININGは、赤坂見附駅から徒歩1分のイタリアンレストランにて、1時間のライブを行い、そのあとに氏を交えお酒を飲みながら楽しく来場者と語らいを持つというスタイルで人気。
また4月には、有名なブルーノート東京のサウンドエンジニアが手がける中目黒の楽屋にて、設立1周年記念ライブを、18日・19日・20日の3日間行うそうです。
ミュージカルを取り入れた斬新なショー作りは、これからも目が離せません。
25期 (ID81)
工藤 由美 さん
http://www.yummycat.com/index.shtmlのホームページは最近更新していらっしゃらないようですが、音楽ライターとしての業績だけでなく、その感受性のアンテナの強度にも驚かされます。強みは海外のミュージシャンへ専門的取材をする英語力だけではありません。
「ICU在学中から脊髄性筋萎縮症のため歩行が不自由だったが、40歳を過ぎて車イス生活に」なられたとおっしゃっています。「パートナーに恵まれた」こともあり、アメリカはもとより、ヨーロッパ、アジアへ取材旅行を続けていらっしゃるとのこと。
プロのジャーナリストとして仕事をしている限り、車イスであることをハンディに感じることがないのは、相対するミュージシャンが「心に垣根のない人ばかりだから」。しかしこの5年ほど音楽業界を取り巻く環境が激変、レコード会社の事業の縮小・撤退、専門誌の廃刊が続いたそうです。実質的に音楽業界のみで生きていくことが大変困難な状況になってきているので、「生きていくための生業としての仕事と『好きなこと』をどうやってバランスさせていくか」、考えていらっしゃる毎日だそうです。
「後輩には、安易にアートの世界に入ってほしくないという気持ちもある」とおっしゃる工藤さん、「20年もの間、第一線でライターを続けて来られたことを人生における最も幸福なことと思っています」とも振り返っていらっしゃいました。
22期(ID78)
下館 和巳 さん
「シェイクスピア劇はもともと大衆演劇」とICU在学中に英国に留学され、比較演劇学がご専門、東北学院大学教授でもある下館氏はおっしゃっています。主宰されている劇団シェイクスピア・カンパニーは、東北にぬくもりのある木造の劇場を作り、そこから文化を発信することを目指しているとのこと。生まれ育った土地、宮城県塩竈(釜)の豊かな言葉、写真家の奥様との出会い、そして彼女の闘病と永遠の別れ、それを乗り越える絆。下館氏のドラマチックな人生を知り、劇団シェイクスピア・カンパニーの劇を見るにつけ、思わずにいられません。私たちも、下館氏ほどではなくても、本来そういうドラマチックな世界の中に生きてきたのではないか、今の現実社会がその劇のように、より温かく、笑いのある世界であって欲しい、と。
(劇団ホームページは、http://www.shakespeare-company.net/)
(左は「新ロミオとジュリエット」福島県いわき市久が浜公演時。下館氏(中央)と劇団メンバー達)
これはシェイクスピア劇なのか!と驚く人も多いかもしれません。例えば、下館氏の前作「新ロミオとジュリエット」は昭和30年代東北の温泉地の物語に自在に換骨奪胎され、悲劇からハッピーエンドに変わっていました。そして今回は東北の寿司屋の主人と3人娘の「新リア王」です。
カナダのトロントスター紙(発行部数はカナダで一番の日刊紙。ビジネス層に影響力を持つ)で劇団の公演が取り上げられたそうです。http://goo.gl/d0E7hT(「新リア王」仙台公演の記事) 東日本大震災以来被災地の取材をしている記者が書かれたとのこと。
13期(’69)
奈良橋陽子さん
プロデューサーとして製作にあたられた「終戦のエンペラー(原題:EMPEROR)」の昨年の大ヒットは、長年の映画、演劇界での経験や込められた思いの自然な結実だと思います。(俳優陣の素晴らしさ、当時の歴史が眼前で展開していくようなスリル、を観客は存分に味わったでしょう)
ご自身のブログは、http://yokolog.seesaa.net/。
2014年2月25日現在、そのブログでは2008年から昨年の"EMPEROR"公開までの様々な奈良橋氏のご体験、ご感想などを読むことができます。
映画、演劇の製作に興味のある方には特にお薦めです。(上の写真は奈良橋氏のブログより。経営されているUnited Performers Studioの2012年クリスマスカードで、中央に映っていらっしゃるのが奈良橋氏、左のGary Foster氏と右の息子さん野村祐人氏は"EMPEROR"の共同プロデューサー)
(現在、問い合わせ中の方のご紹介記事は、許可をまだ頂いていないため、掲載を見合わせております。ご許可、近況やメッセージ、原稿などが頂けましたら掲載の予定です)
12・1月の特集(特集第9回)
人・作品 2012年ICU祭から出会った「アートなOB達」
―展示の簡単紹介など Part1 (美術関連分野)―
展示文章を撮影した部分に、不鮮明な所などがありますことを、どうかご容赦ください。
アートなOB紹介の全展示内容については、当サイトの「ICU祭での展示情報」のコーナーからご覧下さい (下記の全員が「ICU祭での展示情報」の2012年のアート関係のICUOB紹介部門展示にご紹介ありー2012年展示でご紹介した妹尾直子さんはご連絡が取れないため、ここにはご紹介できませんでした。松平信さん、林寿美さん、については当サイトの「特集」コーナーの第1回(4月)と第4回(7月)で詳細をご覧頂けます。)
7期 ('63) 小野耕世さん
(写真は、2012年のICU祭で展示した、彼の創作SF短編集「銀河連邦のクリスマス」の表紙)
マンガやアニメーションの世界に以前から興味を持っている人なら、どこかで氏の業績に接しているのではないかと思う。彼はアメリカンコミックスのヒーロー達を日本に紹介し、世界のマンガ作家やアニメーション作家との交流があり、マンガ、アニメーション、映画の評論などで有名である。国際アニメーションフェスティバルの審査委員長として有能な新人の発見などにも活躍され、現在は、「毎日なにかを思いだす~小野耕世の次元ドリフト~」
(http://onokosei-biography.blogspot.jp/)という自筆イラスト付きの自伝ブログを書かれている。幼少期からの様々な記憶をたどりながら、今話題のアニメ評、映画評ーそこには氏ならではの思い出や洞察が満ちているーも登場するので、ぜひ多くの方にじっくり読んで頂きたいものである。(下に転載させて頂いたのがそのタイトル画面)
上記文章撮影画像は、2012年のICU祭での展示の一部を撮影したもので、この続きは当サイトの「ICU祭での展示情報」コーナー内で、2012年展示(アート分野のOB達)のURLをクリックしてください。
17期 (ID73)
鈴木洋樹さん
同期のご友人鈴木氏から、17期の木原氏が、あのヒロ・ヤマガタ(カラフルな1984年のロサンゼルス五輪公式ポスターも彼の手によるもの)の日本への最初の紹介者だと教えて頂いた。 シルクスクリーンの人気画家、笹倉鉄平も、鈴木氏の「ガレリア・プロバ」から巣立ったようである。商社員だった鈴木氏が、どんなきっかけから、どうやって、優れた多くのアーティスト達をプロデュースしていったのだろう。 展示内容の続きは、「ICU祭での展示情報コーナー」内のURLクリック(上記展示の説明の続きあり)、及びガレリア・プロバのウェブサイトhttp://www.g-prova.com/index.htmlをご参照ください。
40期(ID96) 豊福博さん
2012年のICU祭でご紹介する前に、備前焼の陶芸家となった彼のことは、アラムナイニュースのインタビュー記事で知った。そしてその秋、池袋東武百貨店での個展でお会いすることもできた。移り住んだ岡山からは遠いが、2013年は横浜と日本橋の高島屋でもそれぞれ個展を開き、この11月に池袋東武での個展、12月は横浜高島屋での「酒器展」に出展となる。2013年は大阪、豊中市、巷談舎での「2013 ぐい呑み100撰」展出展に始まり、酒器で締めくくる年のようである。
氏の作品は大地のぬくもりの中に新たな息吹を吹き込んでいるようだ。下の写真は9月の日本橋高島屋での個展の案内状写真に使われていたもの。例えば、多面体の器という使いにくそうなものも、彼の手にかかると、使い手にしっくりとなじむような味わいを見せるのが不思議だ。釉薬を使わない登り窯焼成の備前焼で、特に土の表情をいかすべく、仕事をしている。
(豊福さんのウェブサイトは、https://sites.google.com/site/toyofuku164/ )
当サイトの「ICU祭での展示情報」コーナー内からは、2012年までの活動紹介文章が見られます。
32期(ID88) 木内達朗さん
ICU卒業後に渡米し、イラストを学び始める。(アートセンターオブカレッジ、イラストレーション科卒業) 出版社の仕事が多く、本のカバー絵などの他、海外の雑誌や新聞などにもイラストレーションを描きまくっているという怒涛の活躍ぶりである。
左のイラストレーションは、「本の旅人」 (角川書店の書籍等案内誌)のカバー、 下のイラストレーションはニューヨーク・タイムズのために描かれたものである。
彼のウェブサイト(http://tatsurokiuchi.com/)を見ると、その原点は国際基督教大(理学科生物学専攻)での失望にあるらしいことがわかる。逆説的に国際的イラストレーターを生んだICU、こうした才能をもった人材がこの大学を通過していくのだろうか。
期(ID)は非公開 松本絵里さん
絵本制作やイラストレーションで活躍をされている。ほのぼのとした幸せを感じさせる作品、手芸でのタオル人形や、心和むカレンダー作品、そして何と今回はアマゾンからデジタル絵本6冊の発売という快挙もなしとげている。(紙の絵本よりずっと割安で、「キンドルを使える方、小さいお子さんがいらっしゃる方、興味ある方」には「松本絵里」で検索して欲しいとのこと)
ホームページやブログを拝見して思ったのは、「ICUのアートなOB紹介」のリストでもご紹介している40期(ID96)のやはり絵本イラストレーターの西村香英さんのように、ご自身の子育ての中からヒントや創造の活力を得ていらっしゃることである。「子供向けイラスト」を主に描いているとおっしゃっているが、旅行者向けや、福祉関係のイラストなども手がけられている。
「松本絵里のイラストレシピ」http://www.eri-m.jp/ にブログも併設。
次回の2月特集は、2012年から出会ったOB達のPart2(歌、舞踏、演劇、映画関係)のご紹介を予定しています。どうぞお楽しみに!
11月の特集(特集第8回)
特別編
ICU学生のアートな潮流 ―最近の軌跡をたどる―
他にも色々とアートな試みがありそうですが、今回ご紹介するのは、ICU祭で昨年から始まった実行委員会の企画「ARTist企画」からの2012年展示のうちの5名の方の作品と、美術サークル「ICUアートプロジェクト」の2012年展示の内容(の一部)とそれまでの合作の作品です。今年のICUのアート事情は、ぜひ11月2日、3日のICU祭にお出かけの上、お確かめください!
ICU祭に去年から登場の「ARTist企画」
松村千秋 (ID15) 「blue」
<おことわり>
元々は、油絵カンバスに描かれたように見える絵、を持つ作者像と学内風景の入った画像を、送って頂きました。学生のお名前とお顔まで載ったまま掲載することは避けつつ(個人情報保護の観点より)トリミングで絵だけにするとファイルサイズが小さく画像が粗くなりますので、その妥協策として、こんな形での掲載になりましたことをご容赦ください。
望月咲良 (ID16)
写真
「最良の日」
山本つむぎ (ID11) 連作「そらをたべる」(月、太陽、星、雲、雨、雪、夕焼け、虹)
百瀬晃平 (ID15) 書
「臨 爨宝子碑(さんぽうしひ)」「学問に王道無し」
亀津鴻 (ID16) ペン画「初恋(その2)」
ARTist企画について(2013年ICU祭実行委員会 委員長 月村さん、2012年からARTist企画担当 名雪さん より)
ICUには、豊かな感性、意見を持った方々が多くいると思います。そういった方々にアウトプットの機会を提供し、この企画を通じて学内のARTistを繋ぐきっかけを作りたいという思いで立案しました。また、学園祭というと、ステージパフォーマンスや露店など、団体で参加する企画がほとんどです。そんな中、大きな団体に所属していない「個人」にも、ICU祭に参加する機会を提供したいと考えました。
アカデミックな展示というと、一般的なお祭りのイメージから離れますが、この企画を通じて新たなICU祭の可能性を発見できればと思います。学外の方にも、ICUを知ってもらう良い機会となるのではないでしょうか。
ARTist企画は、1年完結の企画ではなく、3~5年をかけて成長し、いずれは通年企画になればいいなと考えていました。しかし、委員会内で担当してくれる人がいなければ、企画は続行できません。今年度企画を担当してくれる後輩や、その他多くの協力者のおかげで、晴れて2周年を迎えることができました。ARTistの輪を広げ、長く続いていく企画になれば嬉しいです。
今年度も昨年度に引き続き、様々な個性あふれるARTを展示致します。パネルに展示された写真や絵の作品はもちろん、立体作品として生花や映像作品などもあります。また、来場していただいた皆様で作りあげていただく「みんなのART」として、メッセージボードやちぎり絵を用意しておりますので、ぜひご参加ください。
■ Art(s)とは?
芸術、技術、人文科学、リベラルアーツなど、広く「人が作ったもの」を表す。そのため、今回の企画では、単に美術作品に限らず、広く、「ICU生の意見、感性の表現の場」を提供することを目指す。
美術サークル 「ICUアートプロジェクト」
①2012年ICU祭での展示作品
沖山英里 (ID15)
切り絵
橘田憲一郎(ID15)
版画
山本つむぎ (ID11)
ペン画にデジタル彩色
(ARTist企画コーナーにも作品あり)
酒井美穂
(ID13)
ペン画
松岡奏 (ID13)
スマホによるCG
武内彩夏 (ID13)
ポスターカラー画
大網亮 (ID13) 動画作品
http://www.youtube.com/watch?v=MBTdDFV-QcM (YouTubeより。小泉八雲の「むじな」をアメリカを舞台にして翻案された作品で2012年ICU祭展示でモニターにて上映していたものです)
ご本人は現在ICUを卒業され武蔵野美術大学大学院在学中です。
(ホームページはhttp://ryooami.com/ )
また、2012年ICU祭展示で水彩作品を展示した平野礼以奈さん(ID12)の作品は、本サイトの9月の「特集ページ」(ICUのOB作品)にすでに掲載させて頂きました。この「特集」コーナーを下のほうにスクロールしてご覧ください。平野さんはICUアートプロジェクトの設立メンバーで、下記の絵本やアニメーションの共同制作に中心的に関わられました。
②「ICUアートプロジェクト」2011年共同制作の絵本
「このふくなあに」
表紙
扉
1ページ目
2ページ目
3ページ目
4ページ目
5ページ目
6ページ目
7ページ目
ICU ART PROJECT とは (ICU ART PROJECT 部長 沖山英里 さん (ID15) より)
ICU ART PROJECTとは、ID12の先輩方が作られた、ARTをするなら何でもありのサークルです。当時から、ICUでは美術系サークルは私達の他にはありませんでした。ICUでは「美術」と名前の付く講義がたくさんあるのに、なぜARTを愛するメンバーが集まったサークルがないのか?ARTをICUにもっと広めよう!という気持ちを込めてICU ART PROJECTが誕生したと聞いています。ですから、活動内容は自分が愛するARTをそのまますればいいのです。
現在はID17の新入部員を迎え、部員数は8人と少ないながらもそれぞれのメンバーが自分の好きなARTをしています。例えば、版画、クレヨン画、水彩鉛筆画、油彩、切り絵、手芸など描画活動に限らず「創造活動」が行われています。各学期には季節展示会を行います。秋学期はICU祭に展示ブースを設けました。ID11の先輩も出展してくださるなど、未だにサークル創設時の先輩方との連携も強いサークルです。
これからも、ICUでARTを広げるために日々部員たちと切磋琢磨していきたいと思います。ICU ART PROJECTをよろしくお願いします!
10月の特集(特集第7回)
人・作品 29期 ID85 久保田昭宏さん
―ICUOBの異才、イメージの魔術師―
どのようにして、このようなイメージを映像化できるのだろう? 「夢の入り口、それとも出口?」という個展で、副題には写真とコラージュと書かれていたが、その映像を支えるユニークな発想はどこから生まれるのだろう?
何はともあれ、その展覧会からいくつか、久保田昭宏氏の作品をご覧ください。
この個展の行われた時、場所、ご本人については最後にご紹介します。
「懐かしき惑星」 (久保田氏制作の作品絵葉書より)
「サーカス」 (久保田氏の作品絵葉書より)
「楽園観光」 (久保田氏の作品絵葉書より)
「小さな空」 (久保田氏の作品絵葉書より)
「鉛筆が1本あれば」
(ごめんなさい。ガラス面にこちら側が写っていますね)
「懐かしき惑星」
(おや? 先ほどご紹介した作品ですが、写り始めたこの場所は…)
そうです、こんな風に作品が展示されていた所
ここがその会場
夢の入り口、それとも出口?
―久保田昭宏 写真とコラージュ展―
GALLERY BIBLIO という、国立駅南口近くの、民家を改装したギャラリーが会場でした。(2013年9月13日~16日)
会場の久保田昭宏氏
氏のホームページ
「空想装置」http://aparato-por-la-fantazio.jimdo.com/
をご訪問ください。
作者の創作法、このギャラリー、今回の個展、そしてご自身のことなども、そこでの久保田さん自身の説明に触れるのが一番!
品切れで、代金だけお払いして後から送って頂いたこのポートフォリオ。会場での展示作品は約40点ですが、30点をあらためてこの冊子で見ることができます。
本稿筆者の感想となりますが、久保田さんの作品は理知的な映像なのに不思議な温かさを感じました。また、異才―きわだってすぐれた才能(を持つ人) (明鏡国語辞典)―と銘打ってご紹介しましたが(本特集の副題にて)、こんな風にセンスと才能を発揮することは、これからの芸術のひとつの大きな可能性を示唆しているようにも思えます。
9月の特集(特集第6回)
作品 ICU祭でのOB作品展示紹介(2010年と2012年)
この「ICUのアートなOB紹介」プロジェクトの母体は、美術部OB会主催(2012年は現役サークル「ICUアートプロジェクト」との共催)のICU祭での展示企画でした。ご参加くださったOBの作品をひとり1点ずつご紹介します。
制作時期は、遠い昔から、展示直前(?)まで様々です。16名(他1名は掲載意思再確認中)の作品を作者の出身期の順番で表示いたします。
2010年の展示作品については、「ICU祭での展示情報」コーナーに書かれたアクセス法によって、目録を含む、展示全作品のより高品位な画像にアクセスできます。三崎さんの創作折り紙の個別画像もそこでは確認できます。大口さんのご説明も、拡大表示選択でしっかりと読めます。
4期 大口晴子
「青い花瓶」
(2010年ICU祭出展)
6期 酒井忠昭
「湖・初秋」(油彩)
(2012年ICU祭出展)
6期 渡辺幸子
「影」(油彩 100号)
(2012年ICU祭出展)
7期 石塚雅彦
「ICUの秋ー遠い昔」(油彩)
(2012年ICU祭出展)
9期 山本幸子
「ガリラヤ湖<朝>」 (油彩)
(2010年ICU祭出展)
11期 野村彰男
「カンポ広場―イタリア・シエナ」 (水彩)
(2012年ICU祭出展)
17期 山本雄一郎
「霧の中のシルエット(奥多摩 雲取山) (写真)
(2010年ICU祭出展)
21期(ID77) 岡鼻ミドリ
「night and day」 (油彩)
(2010年ICU祭出展)
22期(ID78) 西尾隆
「Sydney Harbour Bridge at Milton's Point」(水彩)
(2010年ICU祭出品)
22期(ID77) 藤江貴与子
「子安港」 (水彩)
(2012年ICU祭出品)
23期(ID79) 三崎修
創作折り紙作品
(2010年ICU祭出展)
24期(ID80) 村田広平
「美術部室」(油彩 20号)
(2010年ICU祭出展)
24期(ID80) 上田みつ子
「魏王堤」(書)
(2012年ICU祭出展)
魏王堤 (白居易 作) 読みと意味
花は 寒うして發(ひら)くに 懶(ものう)く 鳥は 啼くに
慵(ものう)し,
馬に信(まか)せて閒行して 日西するに到る。
何(いづ)れの處か 未だ春ならずして 先づ思ふことか有る,
柳條 力無し 魏王堤
寒気の為にまだ花も開かず鳥も啼かない。
我は独り馬に信せて夕方まで遊びあるいた。
まだ春にならないのに先ず情思の深い処は何処かといへば、魏王堤に柳の絲がちからなく垂れている風情が最も佳い。
27期(ID83) 木越純
「カプリ島」(水彩)
(2012年ICU祭出展)
42期(ID98) 一之瀬ちひろ
(写真集「ON THE HORIZEN」より)
(2012年ICU祭出展)
※撮影時のガラス面への映り込みにつきましては、ご容赦ください
56期(ID12) 平野礼以奈
「SPACE」
(2012年ICU祭出展)
※撮影時のガラス面への映り込みにつきましては、ご容赦ください
8月の特集 (特集第5回。最後に第2特集のお知らせもあります)
人・グループ ICU出身の音楽家・音楽グループ
グループでの活動:
ICU OGC合唱団: ICU グリークラブOB・OG中心で1990年結成の混声合唱団。ホームページは、 http://www.icuogc.jp/pukiwiki/index.php?FrontPage 来年4月12日(土)の第5回メサイアコンサートをICU、ICU同窓会との共催で行う予定。
ICU Classic Ensemble (ICE): ICUのCMSのOB・OG中心の管弦楽団。2003年結成。この6月には第10回演奏会を開催。現在の会員は約80名とのこと。ホームページ(以下HPと記載)は http://orchestra.musicinfo.co.jp/~ice/index.html
個人での活動:
お名前の後の括弧内は、確認の情報元。ご本人承諾後に個人HPアドレスなど転載予定
ハープ演奏家 吉野直子 氏(34期 ID90)(ALUMNI NEWS Vol.119、ご本人HP http://www.naokoyoshino.com/j/index.html 等)
ピアニスト 渡辺達 氏(16期 ID72)(ALUMNI NEWS Vol.116 リレーPEOPLE)
上田敏 氏(34期 ID90) http://www.uedabin.com/jp/←リンク、修復しました!大変長い間、当方の手違いによりきちんとリンクしていなかったことを深くお詫び申し上げます。(「ICUのアートなOB紹介」編集部より
2014年 8月10日)
声楽家 近藤恭子 氏(4期)(ICUメサイアのHP (下記HP)、‘06版同窓会名簿 等)
http://araiza.sakura.ne.jp/icumessiah/index.php?HomePage(の第1回公演)
田辺いづみ 氏(25期 ID81) (ご本人ブログ)
指揮者 長谷川朝雄 氏(1期)(ALUMNI NEWS Vol.108.DAY授賞式レポート2007)
折田真樹 氏(26期 ID82)(ICU OGC合唱団のHP)
ヘンデルの「メサイア」研究家(及び「メサイア」普及運動家)
大間哲 氏 (34期 ID90)
長年合唱活動に参加し、ヘンデルのメサイアについてわかりやすい解説、メサイアの合唱への入門サイトhttp://homepage3.nifty.com/oma/messiah/を主宰。多くのメサイア公演に参加し、最近は、解説や指導の依頼も多い。
『メサイア』のテキスト(歌詞)を理解するために、『メサイア』をソロ曲まで全曲歌ってみよう(大間氏)という、「メサイア通唱会」も開催されています。
情報を求めています!!
ICU出身の音楽家・音楽関係の活動をご存知の方は、どんな音楽ジャンルでも構いませんので、ぜひ konpeito※s8.spaaqs.ne.jp (お手数ですがお使いのメールソフトを立ち上げて、新規メールのアドレス欄にこのアドレスをコピー&ペーストしたあと※の部分を@に変えてください)までお寄せ下さい! 詳細は確認の上掲載しますので、現在特に、音楽の活動をしているOBグループ、音楽家の方についてささいな情報でも皆さんの情報をお待ちしております。(その他の芸術ジャンルの方についても、どうぞよろしくお願いします)
今回は、アラムナイニュース、2006年発行のICU同窓会名簿、インターネットやスタッフの情報網等から、情報収集をしました。連絡中と言及した方は期とお名前も載せましたが、「アートなOBリスト」登録やホームページアドレス掲載の許可をお願いをしているところです。(こちらからのご連絡が遅くなる場合がありますこと、直接連絡先が不明の方には、ご連絡が、所属グループなどへの問い合わせ後となりますこと、をご容赦ください)
13期のジャズピアニスト、西村誠氏のHP等の情報はそれを教えて下さった音楽家の方のHP情報も合わせて、上記西村氏に再確認の上お知らせの予定。
(まだ掲載に関してのご返事は頂いていませんが、六本木でピアノバー「チャーリーズクラブ」をご経営で、お店の魅力的なメールマガジン(?)を、コンタクトした者宛に、配信して頂いております)
ICU同窓会のサイトからもアクセスできる「今を輝く同窓生」のケイ赤城氏(19期赤城恵氏?)http://www.icualumni.com/interview/guest25.htmlもジャズピアニストで、在学中はMMS(Modern Music Society)にいらしたそうです。氏のHPよりご連絡を差し上げる予定です。
24期(ID80 )の作(編)曲家、外山和彦 氏に、所属会社経由で問い合わせと掲載お願いをお送りしています。
52期(ID08)の女性デュオ、Dew の山口(大西)春奈 氏(ピアノ・ボーカル)に、オフィシャルサイト経由で、掲載お願いをお送りしています。(そのご返事は頂いていませんが、メールマガジンを頂きました。11月23日(土)夕 東京池袋の自由学園明日(みょうにち)館(フランク・ロイド・ライトの設計)での公演と12月19日(木)夜に大阪梅田AKASOでの公演があり、チケット販売中だそうです。詳しくはDewのホームページやチケット販売サイトをご覧ください)
8月の特集 第2弾
「今、人に,薦めたい、こんな作品」 (当サイト閲覧者の方からの投稿を、選抜せず全て掲載)
ICU出身者作と限定しない作品―文学、映画、演劇、音楽、美術、その他どんなジャンルでも、耽美派でも社会派の作品でも、現在簡単に接することのできないものでも、今話題の作品でも構いません。 多くの人に、ぜひ、今お勧めしたいという作品を、お薦めの理由や感想と共にお知らせください。ここで順次ご紹介したいと思います。
konpeito※s8.spaaqs.ne.jp(お手数ですがお使いのメールソフトを立ち上げて、新規メールのアドレス欄にこのアドレスをコピー&ペーストしたあと※の部分を@に変えてください)村田(24期)へご連絡お願いします。
投稿のご紹介
①
「 ぜひ薦めたい映画として、「明日への遺言」ーこの映画は8月13日夜にNHKのBSプレミアムで放映されたばかりだが、2007年の製作だった。これは旧日本軍賛美の映画かと、当時は(B級戦犯の将校が主人公というだけで)思ったが、とんでもない勘違いだった。
先日見た宮崎駿のアニメ映画の「風立ちぬ」にも感じたことがある。どちらの映画にも「実際にその歴史の中で生き、そこで取った行動について、簡単に断罪などできない」という思いが込められていたが(それは「反省」という視点とはまた別の捉え方のために批判を受けやすい)それぞれ全く対照的な方法で描かれていると思った。」
「ペンネーム金平糖」さん より (8月14日)
(下記はYahoo!映画のサイトでの同映画説明)
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id328955/
②
「最近読んだ本では、船橋洋一著の「カウントダウン・メルトダウン」でしょうか?よくそこ迄取材したなと思いました。特に福島第一原発の事故後、アメリカ海軍が日本から一時的引き揚げを主張し、国務省が日米関係を考慮して止めたことなど、あまり知られていない話がありました。」
21期 (ID77) 岩田岳久さん より (8月20日)
(下記はアマゾンのサイトでの同書説明)
7月の特集(特集第4回) インタビュー
人 33期(ID89) 林 寿美 さん
― キュレーター(学芸員) 、美術の森の案内人―
1989年より2012年まで、川村記念美術舘(2010年にDIC川村記念美術舘に改称)に学芸員として勤務。同館で企画した主な展覧会に、「なぜこれがアートなの?」(1998年)、「眠り/夢/覚醒」(2002年)、「ロバート・ライマン」(2004年)、「ゲルハルト・リヒター」(2005年)、「マーク・ロスコ」(2009年)などがある。
2010年の「第14回アジアン・アート・ビエンナーレ・バングラデシュ」日本参加コミッショナー。
2012年にインディペンデント・キュレーターとして独立。
現在ヴェネツィアで開催中の「未完風景」展のアシスタント・キュレーターを務める。
また来年の「ヨコハマトリエンナーレ2014」にもキュレーターとして参加する。
Q. キュレーターとしての仕事の醍醐味はどんなところにあるのでしょう?
そうですね…。
たくさんありますが、まず何より、人よりかなり多くの美術作品を見る機会に恵まれるということでしょうか。
美術館に勤めていた時は、朝、開館前に館内を巡る際、部屋にひとりっきりで作品を堪能するのが楽しみでした。
また仕事上、一般には公開されていない作品を見せていただくこともあります。
Q. うらやましいですね。ご苦労も多いと思いますが、一番充実感を感じる時はどんな時ですか?
やはり、展覧会や展示のプランを練るのは楽しいですね。
展覧会では、コンセプトに基づいてどのような作品を集め、それらをどう見せるのか、ということが肝心になってきます。
例えば、絵画を壁に掛ける高さが数センチ違っても、鑑賞者への伝わり方は大きく変わってくるものです。
そうした細やかな配慮と周到なプランを重ねた結果、展覧会を見に来てくださった方が何かを受け取ってくれたと実感する時が一番、充実感を得られる瞬間でしょうか。
Q. その他にも、キュレーターならではの仕事の面白さを感じるのはどんなことでしょう?
現存するアーティストに出品していただく場合、彼らと意見や考えを交換できるのもキュレーターの仕事の醍醐味でしょう。
個人的には、修復家、展示作業や会場施工の専門業者など、美術を巡る別分野のプロフェッショナルな方々との仕事にもいろいろな刺激を受けますね。
Q. 今まで関わられた展覧会企画で取り上げられたような「現代美術」への興味は、いつ頃、どのようなきっかけ、どのような作家の作品で深まったのでしょうか?
私が勤めていたDIC川村記念美術館は主に近現代美術作品を収蔵しているので、20世紀以降の美術を紹介する展覧会を企画してきましたが、特に現代美術だけに興味を持っているわけではないんです。
一番好きな画家は今でもフラ・アンジェリコですし…(笑)。
註 フラ・アンジェリコ: 15世紀前半にフィレンツェで活躍したイタリア人画僧。
サン・マルコ美術館(修道院を改修)のフレスコ壁画《受胎告知》が有名。
Q. それはちょっと意外な感じがしますが、古典的な作品も、制作された当時は革新的だったかもしれませんね。
過去に生み出された優れた美術作品は人類の遺産となりますが、自分が生きている間にどのようなアートが生まれ、何を伝えようとしているのかを知るのは、社会の変化を肌で感じられる今しかできない体験であることはまちがいありません。
当たり前のことですが、同時代においては、アートも”生もの”なんです。
Q. さきほどおっしゃった『展覧会を見に来てくださった方が何かを受け取ってくれたと実感する時』は具体的にはどんな時ですか?
美術館に勤めると、舞台裏が気になってしまうので、素直な観客目線で作品を見るのが難しくなっていくのですが、私自身は、90年代の初めにスイスのシャフハウゼンにある現代美術館でロバート・ライマンのインスタレーションを見た時と1995年にワシントンDCのハーシュホーン美術館でブルース・ナウマンの個展を見た時の体験が、今も強く印象に残っています。
その時の自分と同じくらい強烈なアート体験を他の人にもしてもらいたい、という気持ちはありますね。
展覧会場で作品をご覧になっている方々の表情を見ていれば、何かを受け取ってもらっているかどうかは自ずとわかります。
あるいは、ギャラリートークをしているうちに、聞いてくださっている方の顔つきがみるみる変わっていくこともあります。
Q. 取り上げて紹介したいと思う作品や作家は、どのようなところから見つけ出すのでしょうか? 今までのご体験からの例を挙げて教えてください。
端的に言えば、できるだけ多くの作品を見ることに尽きます。
そこで少しでも心に引っかかれば、アーティストの名前や作品名をメモしておく。写真撮影が許される場合はイメージもとっておきます。
そうやって、頭の引き出しにいくつもの作家や作品をストックしておき、企画を立てる時に取り出すという感じです。
現代美術に関しては、ヴェネツィア・ビエンナーレやドクメンタでは面白い作家や作品に出会えることがありますが、100点あって数点、ひっかかればいい方ではないかと思います。
また同じアーティストでも、個展では、グループ展で見た時とは別の発見をすることが多いですね。
複数の作品を一度に見て比較したり、旧作からの流れを知ったりすることで、解釈が多面的になるからでしょう。
註 ドクメンタ: ドイツのカッセルで5年ごとに行われている現代美術の展覧会。ヴェネツィア・ビエンナーレと並び、美術界の動向へも影響力を持つ。
Q. 100のうち数点ですか…。常にアンテナを張っておくこと、感性を研ぎ澄ませておくことが強く求められるお仕事ですね。
そうですね。でも数を見ていけば、自然にわかるようになるものだと思います。
一方で、どうしても自分の好みに偏ってくるのも事実。
キュレーターの個性と言えばそれまでですが、少し振り幅を広くしておく努力も必要です。
Q. 現代美術は、とてもわかりにくいということもよく言われますが、鑑賞者がそれを十分味わうために特に大切なことは何でしょうか?
現代美術を楽しむのに大切なのは、「経験」と「柔軟性」だと思います。
できるだけたくさんの現代美術作品を見る、そして、それを受け止める自分をできるだけオープンにしておく、ということです。
先入観やこだわりを捨てて、いろんな角度からアプローチしてみる。
でも、全然ピンと来ないものを、無理に理解しようとする必要はありません。
全ての作品をわかろうとすると、頭がパンクします(笑)。
ICUで寮生活を共にした仲の良い友人は新聞社勤務ですが、実は彼女と一緒に展覧会を行くのが一番楽しいんです。
美術の世界で働く人はどうしても作家や作品の評価を知った上で(これが先入観になるわけです)作品と対峙してしまうのですが、その友人はとても自由な受け止め方をします。
彼女の意見を聞いて、自分の見方を膨らませることも少なくありません。
Q. 林さん個人にとって、ICUという環境は振り返ってみれば、キュレーターになる上で、どんな点が役に立ったと思いますか?
仕事で役に立ったのは、まず「異文化間でのコミュニケーション能力」でしょうか。
私は決して社交的な人間ではないのですが、それでもICUの寮生活ではノンジャパと同室で暮らしました。
他人とは文化背景や価値観が異なるのが当たり前、そこからどう互いを理解していくのかという処世術は、ICUで身に付けたものだと思います。
もちろん、ICUでの英語教育も(現実には、仕事をし始めてからの方が英語力はUPしたと思いますが)有益に働いています。
キュレーターとして話す相手は、アーティスト、別の美術館や組織で働くキュレーター、美術史家、ギャラリストなどクセとこだわりのある人たちが多いので、それが日本人であろうと外国人であろうと、やはり「異文化間でのコミュニケーション」なんですね。
協力を必要とする相手との対話がスムーズに運べば、仕事の7割はクリアしたといってもいいでしょう。
註 ノンジャパ:ノン・ジャパニーズの略語
Q. では、不利な点はいかがでしょう?
私個人は不利とは思いませんが、他大学卒のキュレーターから見て奇異だと思われるだろうことは、「専門がない」ということです。キュレーターは最初の挨拶代わりに「ご専門は何ですか?」と聞くことが多いんですね。
最初、私は「ありません」と答えていましたが、それも誤解を招くと思い、最近は「20世紀以降の西洋美術」と答えています。
でも、自分の興味の対象は「時代」や「様式」ではなく「時代を超えた美術的価値」だと思っています。
Q. 肩書きで人や物を見てしまう、もしくは安心するというのは、現代日本人が持つ1つの余り良く無い特性かも知れませんね。
はい。私からそれをとりはらってくれたのはICUかもしれないな、と思います。
Q. キュレーターとなろうと決心されてから、具体的にどのような勉強をされましたか?
キュレーターにとって大事なことは何でしょうか?
私は幸い、学部を卒業してすぐに美術館に勤めることが出来たので、勉強は全て現場で行いました。
ですが、最近はキュレーターを目指す人が多く、以前に増して狭き門のようなので、新規採用されるのは国内外を問わず大学院卒の人が大半と聞いています。
ただし本来は、学歴よりも、どれだけ多くの作品を見ているか、どれだけ多くの美術批評を頭に入れているかという経験が大切です。そしてそこから、自分ならではの美術に対する目と考え方を養うことでしょう。
Q. 自分自身の目でたくさん観る…これが本当に一番大切な事ですね。
アカデミズムや既成概念で見る目を曇らせてしまう「浅いジェネラリスト」では無く、 自分独自の目を持ち、捉え方ができる「本質を視るジェネラリスト」とでも言いますか…。
そのとおりです。美術のように価値が定まりにくいものだからこそ、そうした態度が非常に重要だと思います。
今回は、美術の見方がより豊かになるような、大変興味深いお話をありがとうございました
(この写真は第12回グループICU展の会場風景です)
特集第3回(2013年6月)
団体 「グループICU展」―ICU創立期からの奇跡の絆―
「グループICU展」の経緯(前代表の6期 酒井忠昭さんの文章)
ー2010年ICU祭展示でのご説明に現状を加筆ー
ICU3期の笹本早苗さんと5期の福田恵子さんは、銀座、望月画廊で定期的に二人展を開催されていました。1995年笹本さんが亡くなられましたが、病気になられたとき、今後の展覧会を、福田恵子さん、勝田正佳さん(4期)、酒井(6期)、石塚雅彦さん(7期)に委ね、継続して欲しい旨おっしゃいました。展覧会をグループICU展として引き継ぐことにし、1996年12月に第1回を望月画廊で開催しました。その後2乃至1年半間隔で開催してきましたが、ここ4回は場所を神田文房堂画廊に変えて2012年までに11回、今回( 銀座のSalon de G ギャラリー)で12回を数えています、福田恵子さんは第3回(2000年4月)を前に亡くなられました。会員は現在16名です。
<お知らせ>
新たな会員も募集しているそうです。ご連絡は、代表の11期の野村彰男さん(anomura@asahi.email.ne.jp)までよろしくお願いします。
以下掲載の第12回グループICU展作品とキャプションについて
12名の出展者それぞれの方から、1点の画像(多くの皆さんは複数出展していらっしゃいますが)を選んで掲載させて頂きました。
キャプションは、目録からの引用で、 作者氏名、出身期、作品名、種類 サイズ(あるいは技法など) の順に記載しました。
※写真では、ガラス面への会場の照明や映り込みなどがある点、ご容赦ください。
野瀬 久美子 (1期) 「ペーパーバッグ」 油絵 20号F
別府 一郎 (2期) 「花生 五姿」 陶芸5点
福田 練子 (4期) 「古民家」 型絵染 ・麻布 45cm×180cm
(写真は縦が一部分であることをご容赦下さい)
勝田 正佳 (4期) 「横浜開港記念館」 水彩画 4F
清河 昌之 (4期) 「プリンスエドワード島(カナダ)」 油絵 P-10
津上 麗子 (4期) 「楕円鉢」 鎌倉彫り 33cm×15cm×4.5cm
大口晴子 (4期) 「ろうそく立て」 陶芸 白土/天目釉
「スタンド」 陶芸 天目釉+呉須模様
シュペネマン 大島 偕美(4期) 「希望の桜」 水墨画 30号
小西 正捷 (5期) 「赤い家」 グアッシュ B2判・紙
酒井 忠昭 (6期) 「河原・早春」 油彩 F20
渡辺 幸子 (6期) 「命」 油彩 S50号 (写真での上部欠けをご容赦下さい)
山本 幸子 (9期) 「華」 油絵 F10号
中山 詔子 (10期) 「バラ」 アクリル F8
野村 彰男 (11期) 「泰山荘の秋(東京・三鷹・ICU)」 水彩画 F6額・半切
坂本 多恵子 (12期) 「秋色」 日本画 30F
冒頭に掲載させて頂いた「グループICU展の経緯」を読むと、粛然とした思いにとらわれます。そして皆様の作品の数々に触れてその幅の広さ、質の高さに驚きます。この多彩で充実した創作活動が、ICUの創立期のOB(OG)たちによって、たいまつをリレーするように続いていることは、やはり「奇跡の」絆と呼びたくなります。
特集 第2回(2013年5月)
人 (39期 ID95)八重樫 理彦(よしひこ)さん
-岩手の地で得たインスピレーションー
ICUから、武蔵野美術大学、フランス・パリ国立高等美術学校などを経て、現在は岩手県(お父様のご出身が岩手とのこと)の早池峰山麓で画業に専念されています。地元の早池峰神楽や岩石の模様などから想を得られるとのこと。
このサイトでもご紹介した、家具工房主の木戸氏、陶芸家の豊福氏とは、ICUの(美術部ではなく)日本民俗舞踊同好会(!)のお仲間とのことでした。
第1回(2013年4月)
人 (25期 ID81)松平 信(まこと)さん -彫塑や木版画との深~い縁ー
最初は2012年ICU祭での展示で取り上げた、この方から。(同内容再掲載です)
インタビューと文章(最後の本人メッセージを除く)は平野礼以奈さん(57期 ID13)。 (掲示物撮影画像のため、不鮮明な点、写真画像の切れ端―重複部分―については何卒ご容赦下さい)